野良犬の日々/済谷川蛍
給千円だった。しかし意味不明な名目で五百円天引きされる仕組みだった。五時間働いたとすると時給九百円の計算になる。現場へは電車を使うが、その費用は自分で出す。給与のときにその分は返還される。仕事の内容は大体が設営関係の雑用。イベント用のステージや夏祭りの櫓はいくつものパイプが組まれて出来ているが、それを設計図通り組むのが専門業者の仕事で、その業者の手間を省くのが日雇い派遣の役目である。働きアリの如く、細長くしたバーベルのようなパイプを運び続ける。
日雇いと日払いは言葉は似てるが一緒ではない。給与の受け取りは携帯などで予約のメールを送り、翌日の十六時から二十時に受け取る仕組みだった。土日に受け取る
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