野良犬の日々/済谷川蛍
 
親からもらわずに自分で出した。それだけでも僕にとっては誇れることだった。しかし、結局働き始めてつくった借金は二万円ほど残ってしまった。靴はボロボロになったし、リュックもジッパーが閉まらなくなった。
 一体、僕の労働はなんだったんだろうか。
 しばらくは白い軽トラを見るたびに気分が悪くなった。日雇い派遣は信じられないくらい辛い。今でもあれは何かの間違いだったのではないかと思い、いつまでも日雇い派遣でしか働けない人たちのことを僕の頭の中で想像することが出来ない。
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