野良犬の日々/済谷川蛍
るな。一時間につき九百円やるから」と言われて言うことを聞く人間がいるだろうか。しかたないからやるのだ。同じようなので自動車工場の夜勤も酷かった。大手自動車工場の悲惨な光景を見た。深夜に工場全体に鳴り響くラジオ体操に眩暈がした。工員たちが夜中にかく汗の臭いは潰れたカエルのようで気分が悪くなった。そして彼らをただ立って監視し続けるだけの仕事だ。
仕事がない時間、僕はどこで何をしていいのかわからなかった。しかたないのでコンビニを梯子してお菓子などを買う。万札が千円札になる。千円札になったら次々と減ってゆき、気が付けば残り二枚くらいになっている。二千円だけ持って街をほっつき歩く。生活用品一式が詰め
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