風のたより/そらの珊瑚
 
もう少ししたら
野焼きの季節になりますね
ふるさとの枯れ野に
火がつけられ
冬がおしまいになるでしょう

あなたには見えないけれど
焼け焦げた残骸の下には
根が生きているのです
春になれば
ふたたびそれらは芽吹き
夏には
あなたにも見えるように
あおあおと繁ることでしょう

根があるということは
また
生き直せるということです

わたしの卵はうまく越冬できたでしょうか
あたたかくなり羽化すれば
いのちがささやかに循環していくことでしょう

返信はもとよりいりません
羽衣を返してくださった
お礼を伝えたかっただけなのです

ありがとうございました

       かしこ

       いつかのアオバハゴロモより

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