半端もの/石田とわ
 

        かなしげにわたしを見送った
        埃まみれの店をあとにするとき
             
        「不用品なんでも買い取ります」
             
        乱雑に書かれた張り紙が再び目に映る
        不用の烙印は売ったはずのやさしさではなく
        わたしに押されたのではなかろうか
        そんな思いが頭をよぎり
        振り返ることができなかった
        わたしは見捨てたのだ
        半端なやさしさを抱えることのできない自分を
        後悔という名の代価を握りしめ
        俯くことも赦されず歩くしかない
        不用の烙印を背負いながら













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