凍結する時間。/元親 ミッド
冷たい風が、街路樹のあたりで、
キョロキョロと挙動不審で。
一瞬でマンションのベランダに駆けあがると
干されていた白い洗濯物を奪って逃げた。
空を眺めるのが大好きな僕は
それをたまたま目撃したのだ。
ところが、風は慌てすぎたのか
奪われた洗濯物が、その手を離れると、
はふり、はふりと舞い落ちた。
それは、1月の青の中で
みるみる視界を塞いでいって
ついに
はふっっ
っと、僕に覆いかぶさってきた。
なんだ?と、それを振り払おうと
覆いかぶさってきたものを手にとってみれば
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