凍てつく花  ー病床の父にー/Lucy
 
                   
厳寒のなかで花は枯れることができない
雪をかぶり凍てつきながら
己の色を発し続ける
夢見るように

生きることと
夢を見ることとは違う
そういう意味では
あなたはすでに生きてはいないのか

例えば
管で直接胃に栄養を流し込み
消化を強いられる終末期医療の患者

花が枯れるのは
凍てつく寒さが緩む時だ
冬が去り
春が新しい命をはぐくむ時

雪の下に咲き残った花たちの
みじろぎもせず発色するだけの
冬の日々
それは厳密には生ではなく
延期された死なのか

人生に 有意義な
[次のページ]
戻る   Point(17)