【HHM参加作品】エロい詩(感想文と妄らな空想)/木屋 亞万
 
とは好きではないのだが)このボタンは幼くして亡くなった子どものことを象徴しているのかもしれない。

月夜の浜辺

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛(はふ)れず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?

(中原中也『在りし日の歌』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/219_33152.html ) 


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