猫 まつくろけの猫が二疋 なやましいよるの家根のうへで ぴんとたてた尻尾のさきから 糸のやうなみかづきがかすんでゐる。 『おわあ、こんばんは』 『おわあ、こんばんは』 『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』 『おわああ、ここの家の主人は病気です (萩原朔太郎『詩集〈月に吠える〉全篇』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/859_21656.html )