ある夢のお話し(エッセイ)/Lucy
 
片手に当惑した表情で立っており、その後ろの暗がりにぼーっと光る空間があって、その中にさっきの私の子どもたちが、ふたりで心細げに立っているのが見えました。
私が驚いて階段を駆け上がり彼らのもとに着くより早く、二人は大声を上げて泣きじゃくり始めました。私は慌て、館長を押しのけるようにして二人に向かって両手をさしのべ「大丈夫です。うちの子です。うちの子なので連れて帰ります。」と言いながら二人を抱きかかえようとした時、頭の隅で「これは夢だ」と気づきそうになりました。
たいへん、目が覚めてしまう前にこの子たちをこの腕の中に抱きしめなければと私は本当に焦りました。「おいで、おいで、お母さんと帰ろう」と私は
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