あずきの恋人 (最終回)/たま
 
さん……、かなり、ショックだったかもしれない。
「でも……、イチローって、ふしぎな猫だったわね……。おかあさんね、イチローがそばにいると、ときどき、外山先生かしらって、思ったりしたの。」
「うん、わたしもよ……。」
「ほら、あの絵本教室って、なんだったのかしらね。ねぇ、あずき……、鈴木さんって、ほんとうに木星からやってきた、魔法使いだったかもしれないわよ。」
「え……? あ、そんなことないって、やだぁ、おかあさんったら……。」
「そうかしら……。」
 おかあさんは女の子みたいな顔をして、ため息をもらしていた。
「あらぁ、どうしたの? なんだかふたりとも深刻そうねぇ……、ほっほっほ。」
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