あずきの恋人 (最終回)/たま
おかあさん。」
「カキ氷つくったから、おりてきてー。」
あ、もう三時なんだ……。
牛乳やバナナやメロンが入っている、かあさんのカキ氷は夏休みのたのしみだったけれど、ことしはもう、おしまいかもしれない。わたしがキッチンのテーブルでカキ氷を食べていると、おかあさんはリビングの窓辺に立って、なぜか心配そうに外をみていた。
「どうしたの、おかあさん?」
「ねぇ、あずき……、きのうからイチローさんがやってこないの。どうしたのかしらね。」
あっ……、やばい。どーしよう……。
わたしは知らないふりができなくて、困ってしまったけれど、ほんとうのことも言えなかった。
「あ……、おかあさんご
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