あずきの恋人 (最終回)/たま
 
たんだ。
 だいじょうぶかなぁ、鈴木さん……。
 きっと、たいせつなガラス玉なのに、いまごろ、大王さまにしかられているかもしれない……、ん……、ごめんね。
 しばらく、ガラス玉をにぎりしめて、わたしはぼんやりしていた。もう二度と、オレンジ色にかがやくことはなくても、このガラス玉さえあれば、いつか、かならず、外山先生に会うことができる。わたしはそう思った。
 あ……、そうだ。
 鈴木さんはこのわたしに、ガラス玉を残してくれたのかもしれない。きっと、そうなんだ……。
 ありがとう、鈴木さん……。

「あずきー、ねぇ、あずきー。」
 おかあさんが階段の下で呼んでいる。
「なにー? お
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