あずきの恋人 (最終回)/たま
て、約束してたから、ちょっと、焦っていたけれど、もう、ほとんどできていて、まだ、できていないのは表紙のタイトルと、さいごの一ページだけ。
机のうえにスケッチ・ブックをひろげて、筆や、パレットや、筆洗を置くとせまくなるから、消しゴムとかが、すぐにどこかへいってしまった。
あ、また、消しゴムがない……、もぉ。
椅子をよけて、机の下をさがしたけれどもみつからない。ベッドの下に転がったのかもしれないと思って、床のカーペットに顔をこすりつけてさがしたら、
え……?
鈴木さんのガラス玉がベッドの下に転がっていたの。
あれぇ? わっ、いけない!
わたし、ガラス玉を返すのを忘れていたん
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