卵の音 /服部 剛
 
年の瀬の上野公園は 
家族づれの人々で賑わい 
僕等は3人で 
枯れた葦の間に煌く 
不忍池の周囲を歩いた 

ゆくあてもないような僕等の歩みは 
本郷へと進み 
詩友Fの朗らかな顔に 
何故かこの胸は少し、痛んだ 

本郷3丁目駅の近くにある 
「麦」という名曲喫茶の地下に入り 
昼食を終えた頃―― 
ようやく僕は、口を開いた 

「今日3人で顔をあわせるのは・・・」 
言いかけたところで 
詩友Rは横から 
「はっとりんはwonder-wordsを卒業します」 
詩友Fは思わず 
「お、おめでとう」と、呟いた。 

それから僕等は3人で 
ゆず茶
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