雪道/Lucy
った雪道
家に帰ると祖母が洗面器にお湯を張り
かじかむ両手を浸けさせてくれた
雪道を歩く
晴れの日は白が乱反射して
足元が見えにくい
曇りの日は白に陰影が無く
もっと見えにくい
どこが滑るかわからないし
意外な凹凸に躓いてしまうかもしれない
そんなだから今は足元を見つめ
注意深く下ばかり見て歩く
でもふいに
空を見たくなる時がある
灰色の雲がひしめくだけとわかっていても
どうしても
呼ばれた気がして
足を止める
分厚い古い綿の布団を
大きなハサミで切ったように
雲に裂け目ができている
その切り口は曖昧にほつれ
発色の悪いうすぼんやりとした水色が
遠くを流れる川のように
細くまっすぐに続いていた
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