【HHM参加作品】非連続/深水遊脚
偶然だった。事故のようなものかもしれない。この詩を読んで「天の橋立を山頂からさかさになってのぞき込むってどういうこと?」と、横で布団に入ったばかりの妻を起こして聞いてみなかったら、多分よく分からないままに通り過ぎただろうと思う。大阪に越して7年が過ぎたのにいまも天の橋立に行ったことがない、もしくは常識としてそれを知らない私に、妻は軽くあきれながら、「こうするんだよ」と教えてくれた。足を軽く開いて、身体を前に曲げて、両脚の間から顔を覗かせた。髪は下に垂れて、少しせり上がった掛け布団のうえについた。私も真似をしてみた。
天の橋立というひとつの手がかりを得たものの、それでこの詩が分かったわけでは
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