【HHM参加作品】端麗に折りたたまれた見事な生活/るるりら
 
不思議な薬効を発揮し始める。それらの人々は飾ることはない、いちいち細やかで小さな事柄ですらもやさしく捉え、議論する。そしてやはりそこから微細な物質がいつもいつの日も誕生し続けるのである。まとわりつく襞を伸ばし、それについても口を尖らせたり、なだめたりしながら動物の家族のように舐めあう。やがて物質は彼らを覆うように存在し、一種オーラのように身体やシチュエーションを守り始める。天空の怒りや突然の事故、そういうものですら屈しない物資を手に入れるのだ。それは一心不乱に農民が作物を作るときに唱える豊年の祈り歌のようでもあり、しかし、それは実につまらない変哲な如何でも良い日常会話から生まれる分子でもある。
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