【HHM参加作品】端麗に折りたたまれた見事な生活/るるりら
 
せるための質素な食事を行い、麓に放牧された幾千の羊を数え眠りに着く。
よろこびを一つづつ紙に書き、ひとつひとつの物事を細やかに語り、それぞれがそれぞれに微細な念じられた物質の種をまく、畳の目のようなささやきのような些細な言葉が高層湿原のように数百の夜を超えて確かな物質となる。
生まれた物質を皆で祝い、祝福の言葉を押し並べ、その言葉は無味な味わいをしていたとしても発し続けることで、物質はさらに成長を遂げてゆく。
些細な物質を皆々が自愛の目で崇め拍手する、それは素直な心を広げることであり、自らの解放である。開放された物質は心を持ち、恩返しに来る。小冊子の中に静かに活字として埋め込まれ、不思
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