珊瑚の小径2(エッセイ)/そらの珊瑚
 
子育てというものはこんな気の遠くなることの連続であり、めんどくさいことの連続であることよのう。などと清少納言がいいそう、などと時々妄想遊びに逃げながら、星一徹と化す。いとをかし。
 なんとか全曲弾けるようになったのは、本番前の一週間前のリハーサルの前日であった。母はのみの心臓であるのに、おまえの心臓には毛が生えているんだね。ある意味、うらやましかったりして。
 
 リハーサルどうだった? と尋ねると「一オクターブ高く弾き始めちゃって、先生にストップかけられた」と言う。ああ、そうか、学校のはグランドピアノだった! どこが基本のドなのかそりゃあわかんなくなるよねえ。かつて私はピアノの先生に、真ん
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