「のっぺらぼう」/元親 ミッド
 
てそれほどの力があるのかを。

そうして、ある一つの仮説に辿り着いた。

もしかすると、「のっぺらぼう」が存在感を押しつけているのではなく

ありとあらゆる存在感を自然と無視し続けていた僕の方が

急に、主張してこないものに遭遇してしまったことで

「かたすかし」をくらってしまったのではないか、と。

つまり、主張されることを無視することに慣れすぎていて

ぽっかりと空いた空白に、逆に違和感を憶えたのではないか、と。



そんなことを考えながら、すれ違いざまに「のっぺらぼう」を見て

すれ違ってからも、ミラーで遠のいていく「のっぺらぼう」を見ていた。

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