火葬場で /Lucy
 
ち位置を許してくれる訳じゃない

まき散らす言葉の飛沫に目を凝らし
嘘でないものを探しても

臨終の祖母の耳元で
他の誰にも聞かれないように
首尾よく「ごめんね」を言うことだけが
せいいっぱいの良心だった

けれど
あの日 悲鳴をあげながら
世界の
いいえ私の足元で崩れ始めていたものが何か
知らなかったとは
言わない

確かに
見たことのある光景の前に
今再び
立ちつくすことしかしようとしない
私が居る

            (二00三年三月)
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