【HHM参加作品】 ビル・マックィーンの詩について。あるいは夢について。/Debby
eekにももちろんTIMEにも登場しなかった。だから、彼のことを研究している人間はそれほどの数はいない。彼に興味を持ち続けている人間がいるとしたら、それはおそらくCIAくらいのものだ。(彼らの執念深さには定評がある)ゴシップ的要素を排した研究書と言えば一冊しかない。サイール・アミン氏の書いた「ビル・マックィーン―夢の梯子」だ。エジプト出身の社会学者にしてマオイズム研究で名を残すアミン氏は、ビルを語るとき陰謀論を持ち出さない、世界でただ一人の論者だろう。ビルの発言と詩を精神分析の手法で切り刻んだ、この退屈にして誠実な書物は一読の価値のある文芸批評に仕上がっている。
アミン氏への感謝と敬意を込めてこの一節を文末に引用したい。
「『夢が我々を見ている』というロシア的倒置を事実として私は考えます。夢があなたを考え、夢があなたを形作り、夢があなたを語ります。世界について、語り得る真実はこれだけだということを、私は証明したのです。真実こそ、全ての価値の根源であり夢なのです」
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