【HHM参加作品】 ビル・マックィーンの詩について。あるいは夢について。/Debby
 
り狂った。その中で、僕は野次馬でさえなかったことを覚えている。なにせ、僕は今も昔も政治や経済にはほとんど何の興味もない。せいぜい、ガソリンの値上がりや僅かな外貨預金が気になるくらいだ。もし、僕が一台のプロペラ機になってウォール街に墜落したって、世界は何一つ変わらない。そんな風に考えていた。
 しかし、ビル・マックィーンの逸話を初めて読んだとき、僕は何かを感じた。何か、自分の中を横切るものがあることに気付いた。でも、それはずっと言葉にならないままで僕の中にとどまっていた。
 それから十年近くもたって、ルネ・シャールのこの詩を知った。


{引用=
「人間の時代に、私は、生と死を隔てる壁
[次のページ]
戻る   Point(11)