【HHM参加作品】 ビル・マックィーンの詩について。あるいは夢について。/Debby
る間、世界はそんな風に進んだ。
多くの投資家がこの一週間で首を括った。株価が動き出すのを待つまでもなく、事態は絶望的だった。NYダウが再開されたときが命日になる投資家たちが次々と市場から退場し、あるいは人生から退場した。その頃、僕は仕事の都合でアメリカにいたのだけれど、こんなジョークを耳に挟んだものだ。
「ウォール街にもずいぶん小型機が墜ちてたよ。アルカイダの仕業だね」
「いや違うさ。飛べると思ったんだろう、飛行機が墜ちるなら人間が飛ぶ道理だ」
二〇〇〇年代はおよそそんな風にして始まった。事態は絶望的で、世界は怒りと絶望に満ちていた。多くの当事者たちは絶望したし多くの野次馬たちは怒り狂
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