【HHM参加作品】 ビル・マックィーンの詩について。あるいは夢について。/Debby
では、「億万長者列伝」のような内容でテレビで流れていたこともあったような気がする。誰ものひと時を楽しませ、そして忘れ去られるおとぎ話だ。日本語に訳された研究書もほとんどないし、伝記も出ていない。多くの忘れ去れるゴシップ誌とほんのわずかの良心ある(主に経済の)研究者だけが、彼の人生を記録した。
だから、彼がインターネットの広大な海に何篇かの詩をささやかに放流していたことはほとんど知られていない。まるで手紙を詰めた瓶を海に流すみたいに、しょぼくれた創作文芸サイトの掲示板に張り付けられた作品は数人の参加者によるささやかな賞賛(一番多いもので三つの賞賛レスポンス)と圧倒的な無関心の中で、静かに深海へと
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