元旦のこと/はるな
 
話の画面がつるつるひかって、それからまた暗くなる。
好きなひとから、でももう遠くしたひとからの電話で、ひかって、暗くなるのを、見ていた。もう一度ひかればいいのに、と思いながらみていて、そうして、そのあとはもうひからなかった。

それから、立ち上がって蕎麦を茹でていたら、夫がほんとうに犬みたいにひくひくいいながら寄ってきたので、笑ってしまった。
あんまりにもすべてが幸福で、身近で、ささいなことなので、わたしはこれを思い出せないだろうな、と思った。でも、思い出しながら、こうして、文章を書いている。


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