怪奇 うさぎの大福大脱走/凪 ちひろ
 
が、夜行性で当日絶好調の大福のスピードに勝てるはずもない。
加えて部屋の電気をつけるという発想も持てないほどにまだ寝ぼけていた。
慌ててつかもうとして、大福の目をさわりそうになってしまい、
ひやっとしたので作戦を変えることにする。


凪は三日前から大福にあることを仕込んでいた。
遊んでいる大福に、「ハウス」と言いながらドライフルーツの袋を振ってみせ、
一粒えさ箱に入れる。
そして大福がゲージに飛び込んで、えさに夢中になっているうちに、
小屋で入口をふさいでしまうのだ。

大福は、あまり頭がいいとは言えなかった。
一昨日から三夜試したが、三夜ともえさに夢中になり、
食べ
[次のページ]
戻る   Point(3)