放課後の音楽室で/そらの珊瑚
 
しゅんしゅんと沸く湯気の上はがされていく、ボクののりづけ

きぶくれた冬の雀がひだまりでおとぎ話の続きをうたう

かあさんの手冷たいねりっちゃんの手はあったかいね

火傷した誰かの指のためだけにわたしの耳はいつも冷えてる

しゃうと あんど しゃうと 音符なんか読めなくたっていい

鍵盤押せばフエルトで守られているハンマーを振り下ろしている小人たち

ヘ音記号とト音記号のはざまで名もない空間がふるえています

ぎゅっとしてても人ってうっかり離してしまうもの赤い風船

気の抜けたサイダーみたいな男がいいほんとの泡は隠し持ってて

玉じゃなく白旗が飛び出すような日常
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