冬の回廊/Lucy
冬の薄暗い回廊を
渡ったところに教室があって
頭痛を抱えたままの君は
そこをめざして歩いていく
壁にはたくさんのテレビがついていて
音もなく瞬きながら
世界中のつらいニュースを
さかんに映し出すけれど
悲しむことも
怒ることも
上手にはできなくて
冬の薄暗い回廊をくぐりぬけ
やっとの思いで
たどりつくと
若い男の先生の 誠実な
地道な 辛抱強い
徒労の日々が
灯油の代わりに
ストーブで燃やされている
それはあかあかと
君たちの
冷たい頬や手のひらを照らす
カーテンが破られ
掲示物が剥がされ
黒板に死ねと書かれた悪ふざけの部屋で
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