雪解け/ブライアン
 
生している。深夜〇時少し前の交差点。人の群れが駅へ向かおうとしている。信号機の前へ人は集まってくる。車が視線を何度もさえぎった。トラックが数台横切って行く。これから市内の店へ納品に向かうのだろう。縦横に入り組んだ街の道を、ゆっくりとトラックは走る。ラジオからは一九七〇年代の音楽が流れてくる。一九七〇年代をトラックの運転手は生きていない。彼はハンドルをたたき、リズムを取っている。何度か同じラジオ番組で流された曲だった。ボーカルの男は今でも音楽活動を続けている。運転手は今の彼の歌は知らない。彼は口ずさむ。まっすぐに伸びる大阪の道、青く光る信号機はいくつも連なっている。アクセルを踏む力を強めたり、弱めた
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