いのちの音 /
服部 剛
夜の部屋で
ぎたあの絃を爪弾けば
音のふるえは静寂(しじま)に消えて
再び秒針の音は響く
繰り返される毎日に
どうすれば僕は
音のふるえとなるだろう?
単調なる、秒のまにまに
どうすれば僕は
一瞬の光となるだろう?
ぎたあを爪弾く指を、止め
秒針の音に耳を澄まし
左胸に手をあてる
もう一度――
私という不思議を味わおう
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