あずきの恋人 (連載?)/たま
 
あさんもね、イチローが好きなんだよ、きっとね……。おとうさんにはナイショだけど……。
 わたしもいつか、恋をするのかなぁ。三十歳はだめだけど、年上がいいな……。みっつぐらい……。
 うふっ。

 玄関のチャイムが鳴ったような気がした。
 あ……、おとうさんが帰ってきたみたい。
 わたしは部屋の電気をちいさくして、タオルケットをかぶって、ベッドにもぐりこんだ。階段をあがってくる足音がする。おとうさんだ。部屋のドアがすこしひらいて、おとうさんの気配がして、ドアはすぐにしまった。
 やれやれ……、さいごの関門は突破したみたい。
 あっ、そうだ! 窓をあけなくっちゃあ……。
 窓を十五セ
[次のページ]
戻る   Point(13)