あずきの恋人 (連載?)/たま
」
まだ、九時すぎだった。あわてて二階にあがったら、おかあさんにあやしまれるかもしれないと思って、わたしはパジャマに着替えて、ゆっくり歯みがきしてから、おばあちゃんにおやすみって言ったの。
二階にあがってベッドのうえで足をのばして、スケッチ・ブックをひらいた。イチローのうしろ姿を描いたページだった。イチローのひだり肩のよこには、鈴木さんにもらった、淡い灰色の付箋が貼ってある。
/ぼくは外猫のイチロー。ひみつがいっぱい。
わたしが書いて貼っておいたの。
ねぇ、イチローはおかあさんが好きだったの? わたし、ちっとも知らなかったけど、さみしかったの? だれかに甘えたかったの? おかあさ
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