Naked Songs/
村田 活彦
年季の入ったステレオが
不意に歌いだした
インディゴに沈む
コンクリートの部屋で
遠い国の流行歌
綴りも知らないけど
こぼれ落ちた無声音は
冷たい床を浸していった
誰かが作った歌
誰かに贈った歌
誰も彼も裸の耳を空にさらしている
今夜、三日月がカーテンをゆらす
リフレインが心臓にしみこむ
ひとすじの呪文のように
誰かが作った歌
僕によく似た歌
誰も彼も裸の耳をふたつ
空にさらしている
戻る
編
削
Point
(8)