汗ばむ背中と神さまの思惑/石田とわ
草の香りのする夏の夜に
汗ばむ背中に頬をつけ
両腕をからめ眠りにおちる
そんな不埒なことばかり
冷たい布団のなかで
手足まるめて思ってみる
やがて冬は終わり
木々の芽はふくらみ春になる
なにもせずとも季節は巡る
それは確かな決まりごと
たとえあなたがいなくても
夏はくる
汗ばむ背中を抱くために
いったいなにができるのか
ただただこうべを垂れて
祈るしかないのだろうか
祈ることに虚しさを覚えたわたしを
神さまはどう思う
男の背中と神さまについて
ひとり悶々と考える冬の夜
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