朔/黒い翼
 
今朝の月は 銀色じゃないよ
太陽の陰になって 宇宙の色
太陽の輝きを
だんだん だんだん遮って
三日月のようになった
(三日太陽!)
輝きの先端と先端が
だんだん だんだん近づいてきたら
にわかに冷たい風を感じて
にわかに発生した雲の色を透かして
環になった輝きの まんまる闇の色

木漏れ陽も
だんだん だんだんまんまるから欠けていく
月の満ち欠けのように
この影のほうが 月の姿なんだよ
不思議そうな目で
君が僕を見つめる
君の瞳に映る僕もまた影
誰にも見えない 君の人陰
そしてこの不思議そうな朝は
古びて朽ちかけた科学雑誌に示された
遠くで輝く明日の明日の
明日の明日の明日の明日
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