あずきの恋人 (連載?)/たま
山先生に会いたいの。鈴木さんは、外山先生のこと知ってるんでしょう? ねぇ……。」
アー、アー……。
窓のうえにいたイチローがふり向いて鳴いた。
「おや、どうしたんだい? あそびに行くのかい。」
アー……。
「じゃあ、いっといで……。」
イチローはベランダの手すりにすばやく飛びうつって外へでていった。
「あの子はね、あずきちゃんとこが好きなんだよ。涼しいからね……。ぐふっ。」
「え……、イチローは鈴木さんとこの猫なんですか?」
「そうだよ。あの子はね、ちょっと、ひみつのある子でね、あたしとここで生活してるの。あ、そうそう、あずきちゃん……、外山先生にはもう、会えないんだよ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)