みどりの言葉 /服部 剛
 
フロントガラスの前に広がる 
いちめんの里芋畑で大きい葉群が 
わらわら踊ってる 

ここは、公園の駐車場。 
ベートーヴェンの協奏曲が 
カーラジオから 
生真面目で軽快なヴァイオリンを奏でてる 

僕は今日、ひなたの机で 
世を去った歌姫に贈る  
手紙を綴ったが 
どうやら体の消えた人は 
風となり世界を巡っているようです 

ベートーヴェンのヴァイオリンに 
ぴたり、と呼応して大きい葉群が 
わらわら喋(しゃべ)ってる 

フロントガラスの、向こう側。 







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