クリップ/そらの珊瑚
 
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく

クリップが
あなたの詩集だよ、と言う
いつでもまた
布団に帰れるようにしておいたからと

ひきだしのなかに
色とりどりのクリップが
一度の人生では使いきれないほどあって
一本の針金にもう戻れないという
かなしみと一緒にして
わたしは
昨日を
仮留め、する

やがて ほどかれた言葉たちには
クリップ印が
ふにゃりと記されていた

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