あずきの恋人 (連載?)/たま
外山先生はまた、立ち上がるとホワイトボードのまえでしばらく考えてから、青い字で、
わたしはここにいます。
……と、書いたの。
「たった、一行ですが、これでじゅうぶんだと思います。」
なにがじゅうぶんなんだろう? んー、むずかしくって、わたしへんになりそう……。
「この絵のなかには、あずきのさんの姿は描かれていませんが、ここには、あずきさんの日常があって、ぼくは、あずきさんの姿を思い浮かべることができました。そこで、もし、この絵に足らないものがあるとしたら、それは、あずきさんの声だと思ったのです。」
あ、そうか……、これは、わたしの声なんだ。でも、どうして声なの……
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