橋のうえ/月乃助
 
夏の陽にやけた
見まがう
まっかな顔の 猿でした

林檎をさしだしたのは、 山女の手
それとも
猿のほうでしたか

やってきた
凍てつく冬の むごたらしさを
誰かに
ののしりたくて、

猿はといえば とおく
森に赤い 命をつなぐ
万両のあじが どうとか
想っている

「 ねえ、森の木の間に眠る いく重にも時をまとう椿の花は・・・・・ 」

だれも そんな女の話は、あきあきで、

死んだ子を産んだ 赤ぎつねのナミダとか、
青サギに 子を食べられた カワセミの繕う笑い声ならなおさら
聞きたくは ないのです

二の腕の刺青は、帆船の
稚拙なそれは、チ
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