あずきの恋人 (連載?)/たま
 
、ちょっと、困ってます。」
「うん、あずきさんの場合はとても絵がしっかり描けているし、それに、あずきさんの絵のなかにはもうすで、ことばがいっぱいあります。だから、ほんのすこしだけ、ことばを書き加えたらたらいいと思います。たとえば、詩を書くみたいにね。」
「え……、詩、ですか?」
「そうです。じゃあ、このあずきさんの部屋の絵をよくみてください。この絵のなかから、なにかことばが思い浮かびませんか?」
 う……ん、外山先生の言うことは、なんとなく理解できたけれど、わたしはムズムズするばかりでなにも思い浮かばなかった。
「うふっ、あずきにはちょっと、むずかしいわね。外山先生だったら、どんなことばを思い浮かべますか?」
 おかあさんが助けてくれた。
「あっ、ぼくですか? うーん、そうですねぇ……。」
 外山先生はまた、立ち上がるとホワイトボードのまえでしばらく考えてから、青い字で、

 わたしはここにいます。

 ……と、書いたの。


              つづく













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