抒情詩の命令/すみたに
 

やがて悲しみが融かすものを失くしてしまったら、その時憂鬱は訪れる。
すなわち感情は次第に麻痺していき、求めることすらしなくなる。
求めない時、人は黙る。あるいは叫ぶ。
絶叫し、また黙る。静けさが耳に痛いほど。

この後、再び必ず始まりが来る。
それは恋に限らない、なにかへの渇望、
悲しみは涙とともに涸れ、替わりに陽射しを求めるだろう。
欲求それ自体が、欲求を目覚めさせる。
そして言葉が新たに生まれて来る。

僕がいま語れることではない、
いましか語れないこと、それを浮き彫りにしなければならない。
それは辛さや苦しみ、喜びや怒りでなければならない。
即興でなければならない。修正できることというのは、偽りかもしれない。
胸の痛みが、手先にまで広がり、鼻先からこぼれ、喉をつぶした時、
その流れを止めることができたなら、
僕はまたなにかが語れるのではないかと思うのだ、
また語れる時、それはあなたの声が聞ける時、
信じている、ただ喜怒哀楽は、信じることなのだ。
戻る   Point(0)