抒情詩の命令/すみたに
 
すべて終りにおいて、始まりから歌が流れ始める。

  私のおとめが私を捨てて行くと、
  深い苦しみに悩まされ、
  胸の中のほんとの悲しみは
  歌にはならないのだから。

だが、今こそ私は歌う、
甘い清い喜びにあふれて。
そうだ、この賜物だけは譲らない。
僧院の甘いブドウ酒と引きかえにだって。

青年ゲーテの恋人リクヘンと縒りを戻した時の歌であるとおもわれるこの詩は、
まさに繰り返す始まりと終わりの中で、ゲーテが一つの真実をさとった瞬間ではないだろうか。

求める者には言葉あり、言葉あるとこ孤独なし。
涙の雨は土砂降りで、大地の恋人を激しく穿ち溶かしてしまう。
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