抒情詩の命令/すみたに
歌に陶酔することで恋人に陶酔している。
もはや友は幼き日々、過ぎし、喪われた日々の喜びであり、
美しいままの眠れる美女との耽美的な、あるいは唯美的な悦楽は偽りであり、
恋する眼の前の女と時を経ることこそ喜びであり陶酔である。
恋は客観的で、現行の喜びである。
それは現行の言葉に最もふさわしいものであるだろう。
人は誰でもその時の自分にしか語れないことを語るべきである。
だからこそ、はかないもの、こころ、それは語られれば無上の輝きを放つ。
歌において初めて精神的な繋がりをもつことができる。
だからこそゲーテは、別れの日には結ばれた日を思い出すと歌わねばならなかった。
すべ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)