現場。/元親 ミッド
雨が街を一斉に叩く音で目が覚める
億劫な、暗い灰色の朝に
独り、目をこすりながら時計を見た。
午前5時半。
雨が降ったって
雪が降ったって
強風に煽られて
凍えるほど寒かったとしても
関係無い。
あそこで闘いが、待っている。
泥と、コンクリートの粉
赤い鉄と、黒い油と、唸る建設機械たち。
間違いなく、そこは戦場。
油断が、死を招く場所。
職人と呼ばれる戦士たちが
毎日、そこにやってくるのは
ただ、単純に
生きる為。
食いつなぐ為。
それ以上でも、それ以下
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