きせきのひ/服部 剛
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る
昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江ノ電乗れば
極楽寺へと向かいます
古びた駅のゴミ箱に
きれいに揃えた赤いハイヒールが棄ててあり
浜辺には憂いの女がゆれており
遠いヨットの群れ眺め
空飛ぶトンビと話しています
「 天国は あった ここに 」
凪いだ波間に きらきら光る 真昼の星屑
※ 初出:「詩学」(詩学社)’03年3月号(投稿欄)
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