旋回をやめない死/高原漣
 

「踊っているのでなければ、踊らされているのだろうさ」学舎で一番の秀才、リヒテンシュタインはそう言った。

彼が踊り手なのかマリオネットの操手なのかはわからない。

酒場の小劇場で煙いスコッチをあおり続けている彼を尻目に私は

舞台上でくるくる廻っている木馬の眼窩に滲む

石炭袋めいた色に慄然たる思いを隠しきれなかったが、

彼は飽きることなくずっと旋回をやめない木馬を見つめ続けていた。




今夜はとても暗いが、私には足元を照らすランタンが味方してくれる。

見あげればはるか虚空に銀の沙、闇の海

死はだれの元にも

やさしく訪れる

満天に降りしきる流星雨は明るくなれば、

朝やけの中へぼやけて消えてゆく

It all comes tumbling down,tumbling down,tumbling down……
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