道 /服部 剛
今日も少女は古着姿で
脇に小さい黒板を抱え
貧しい童子(わらべ)等の集う学校へ続く
土の道をゆくだろう
今年も一年、この黒板に
どれほど白いチョークの文字が
書かれては消えたろう
童子等のすでに帰った
空っぽの教室で
夕陽を見てはうつろいゆく
一日・一月・一年よ――
白いチョークの文字は、消えて良い。
童子等のこころに消えぬ
言葉を夢見て
少女の瞳は思案に俯きつつも
明日へ向かってゆくだろう
黒板をしっかり抱えて
貧しい笑顔で無邪気にさわぐ
童子等のいる
あの教室へ続く道を
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